恋口の切りかた

「お願いだから、みんな私の話を聞いて!」

叫びながらも、頭の中は真っ白で、


何を言ったら、いいんだろう……?

どうしたら、みんなを止められるんだろう……?


これまで円士郎たちと一緒に学んできた様々な学問の言葉を探したけれど、考えはまとまらなかった。

「か……勝てっこないよ。
蜂起なんてしたって、相手は刀も、飛び道具も持ってるんだよ。
鎮圧されて、みんなそろって磔にされちゃうだけだよ……」

もつれた思考のまま、それでも何とか私は言葉を絞り出したのだけれど、

「このままじゃこの冬は越えられねえんだ」

「どうせ死ぬなら決起したほうがましだ」

返ってきたのはそんな固い決意で、私は事の深刻さをあらためて思い知らされた。

「そんな……でも……」

「それに、勝てなくってもなあ、騒動を起こしたら、この国はお上(かみ)からお叱りを受けるんだ」

「それでお取り潰しになった国もたくさんあるって聞くぞ」

「お侍さまたちだって、それは怖えはずだ。だから蜂起すれば、要求を聞いてもらえるかもしれねえ」

私は、ぎゅっと袴を握った。


……知ってる。

国内で反乱が起きたらお殿様の家が改易にされることがあるって、私も円士郎たちと一緒に学んだ。

だからみんな、脅しのためにこうやって決起しようとするんだって、わかってる。


でも、武士も農民の反乱を恐れているからこそ──

「失敗したら、きっと見せしめにされちゃうよ! 二度とこんなことを起こす者が現れないようにって、皆殺しにされちゃう……!」