恋口の切りかた


 【剣】

庄屋様のお屋敷に駆け込むと、そこにいた大勢の人間が一斉に私のほうを見た。

村の家の男の人たちばかり。

重要な決めごとや相談を行っていたということが嫌でもわかった。

私に向けられたぎょっとした顔の中には、懐かしい兄や、年老いた父の顔もあった。


「お……お侍さま!?」

「お役人かっ」

「な、なんでここに──」

「誰か喋ったのか!?」

「よ、よく見ろ、まだ若者だ」


慌てふためく皆の様子は、おひさと妹の口から語られた内容が現実のものだと突きつけてくる。


「みんな……!」

私は必死に、そこに集まった村人に向かって言った。

「蜂起なんてやめて! 殺されちゃうよっ」

しん、とその場が静まり返って、当惑するように皆が顔を見合わせて、

「……お前、トウ丸か?」

恐る恐る、という感じで昔の私の名を呼んだのは父親だった。

「そうだよ」

こくん、と私は頷いて、

「トウ丸!?」

「盗賊殺して追い出された、あの……!?」

「だったら、今は結城の──」

「まずいぞ……どうするんだ……?」

どよめきが広がった。