恋口の切りかた

俺は確かにここで政策に対して口を出せる立場ではない。

青文もそんなことを期待したわけではなくて、こいつらがどういうつもりなのかを知るために探りを入れて欲しいということだろう。

「わかんねーな。藤岡サマともあろう御方が、どうして新参者の若造に好きにやらせてんのか。
この政策に高尚な意図があるんだったら、ゼヒとも聞かせてもらいてェもんだぜ」

「ほっほ。新参者の若造に好きに……か。円士郎殿もそうであるし、伊羽殿などはまさにそうであったな」

俺の言葉に対して、白髪の仕置家老はとぼけた口調でそんなことを言ってきた。


青文の言葉からの当てずっぽうだったが、これは──


──どうやら図星か?


「儂はの、円士郎殿」

俺に合わせたのか──藤岡は砕けた調子になって、
そして、ぞくりとするような剣呑な目をした。

「手を組む相手も、下につく相手も、家柄や年ではなく優秀な人間か否かで選びたいと思うておる。
それは『あらゆる意味で』だ」


あらゆる意味で──?


「円士郎殿の言うとおり、この案を持ってきたのは海野殿じゃ。

『不穏な動きが近隣にあるのならば、反乱を起こさせて見せしめに処罰してしまえば良い。
武器を隠し持ち、税を吊り上げて反乱を起こすような民など一掃してしまえ』とな」

「な──」

いくら何でも滅茶苦茶だろ、それ。

「あんた、そんな案を許したのか?」