恋口の切りかた

無礼な! と声を上げて周囲の取り巻きが色めき立ち──


「うるせえ!」


俺は一喝した。


「国のために尽くしてるエラい御家老様にならいくらでも礼をとってやるよ!

だがジジイ、あんた言ったよな? 俺のさっきの答えが模範解答だってよ。
それがわかってて、何で税を吊り上げる? 若輩者の俺にはわかんねえから、教えてほしいとお願いに来たんだよ。

愚策じゃねーって言うなら、納得できる説明を是非とも後学のために聞かせてくれよ、藤岡左門之介サマよォ」


ほっほ、とクセモノの仕置家老は声を立てて笑って、周囲を「よい」と制して再び俺の前に座り直した。


「元気が良いのォ、若造が。
いかに結城家の御子息と言え──ここは下々の者が集う町中ではありませんぞ? いささか無礼が過ぎるのではございませんかな?」

「はっ! 無礼は承知だ。
その若造の言い出したワケのわからん政策にそのまま乗ったジジイにとる礼はねえっつってんだ!」

「なに?」

「税を上げるって言い出したのは、海野清十郎だろうが」


カマをかけた俺に対して、


「小僧──」


藤岡が面白そうに目をすがめた。