恋口の切りかた

私は母にとって若い頃の子供ではなかったけれど、

六年ぶりに見る母親は
すっかり老けて、
頭に白いものが混じり始めて、
背丈も、こんなに低かっただろうかというくらい小柄に見えて、


「おかあ……おれ……」


鈍い痛みのようなものに締めつけられる喉から震える声を出して、私は一歩近寄って──


「かんべんしてくれっ」


その場に手を突いて土下座した母を見て、凍りついた。


「お噂は聞いてます! 結城のおつるぎ様、おれを恨んでいるなら謝ります。
このとおりです!
だからどうか、どうかお許しくださいまし!」


よろめいて、私は踏み出していた足を一歩後ろに退(ひ)いた。

おかあ──?


「頼みます! 頼むから……とっとと町に帰ってくれぇ……っ」