恋口の切りかた

「あ……あの……」

私は言葉を探した。

「みんな……元気……かな?」


私は言ってみるならば村八分になった身だ。

村から追い出された身だ。

温かく迎え入れてもらえるはずがない。


甘い期待をしていたわけではなかった……けれど……


「どうして戻ってきたんだ……!?」


それでも、昔は仲良くしていた妹から強ばった表情でそう言われて、私は真っ暗な穴の中に突き落とされたような気がした。

私の表情を見た妹は、さっと視線を伏せて、


「みんななら元気だ。でもトウ丸ねえちゃんは、もうおれたちの家族じゃねえんだ」


冷たい雪玉のような言葉をぶつけてきた。


「ねえちゃんの話なら聞いてる。偉い御武家様のおうちで、おっそろしいお侍様の剣のお稽古してるんだろ。
早く町に帰れ。おとうやおかあに見つかったら──」

「おまえ……トウ丸!?」


妹が言い終えないうちに、横手から悲鳴のような声が上がった。


懐かしい響きに、私は弾かれたように振り返った。

家の裏手から現れた年老いた女が、怖い顔でこちらを睨んでいた。


「おかあ……」


涙がこみ上げた。