恋口の切りかた

つまり、


私も結城家の養女となって初めて知ったのだけれど

漣太郎は今のお殿様と──



──いとこ関係にあるということなのだ。



そんな身分なのに……


こんなまねして。

信じられないよぅ、漣太郎のばか。





それにしても、

いくら結城家のお屋敷が広いとは言え

これだけ探して見つからないハズはない。


これは町を探したほうが良さそうだなと思って、

私も大きな長屋門(*)をくぐって外へと出ようとしていた時だった。



白壁の門の前にいた、
立派な紋付きの着物を着た二本差しの堂々たる偉丈夫から、

家の者に急ぎ取り次いでほしいと声をかけられた。


大河様ですかと聞くと、そうだという。



……漣太郎のあほう──!

大河様来ちゃったよ。



(*長屋門:奉公人の下男などが中に住める、アパートみたいなスペースまである大きな門)