ちくしょう、何とかしろよ青文……!


「失礼する」と言って、覆面頭巾に手を伸ばして──


「ひかえよ! 痴れ者がッ!!」


青文が俺の手を払い除けた。


「私が殿の許しを得て、城中でも顔を隠していることを知らぬのか!

殿のご不在中、そのご意志を無視したこの場での私への無礼は、殿への反逆と心得よ!!」


この言葉には──さすがに皆、顔を見合わせて躊躇の色を見せた。


「江戸にいる殿直々の命ならばこの素顔、喜んで衆目の前にさらそう」


青文はそう言い放って、


俺はとりあえず胸をなで下ろしたのだが──


「そうですか。ならば仕方ありませんね。
しかし素顔を見せられぬと仰るならば、この疑い──貴方に晴らす手だてはない、と受け取って宜しいですか」

清十郎はすぐさま切り返してきた。


こいつ──

本気で、青文と張り合えるくらい頭が切れるぞ?