俺が青文にしようとしていた話は、隼人たちの話と重なっていたため、俺から話す内容は特になくなって──

役宅を後にしながら、俺はどうにも拭いきれない嫌な予感がしていた。


「あんたと留玖を襲った鎖鎌の男が、海野清十郎に城代家老の正体を密告したんだとするとよ……」

俺はある可能性が浮かんで、青文に言った。

「もしもそいつが、その場に留玖がいたことにも気づいてたとしたら──結城家と伊羽家の繋がりも、海野清十郎には知られてるんじゃねーのか」

留玖の話では、俺と青文が仲が悪いと思いこんでいる様子だったらしいが──

それが演技ならば、たちが悪い。

もしも俺たちのことを知った上で、海野清十郎が俺の部下である隼人や帯刀に、青文を討つ話を持ちかけてきたのだとすると──

──話は色々と変わってくる。

「ふむ。その可能性は確かにあるな」

青文は頷いて、

「気をつけろよ」という俺に微笑んだ。

「言っただろう。もしも海野清十郎が正義を行おうとしているのであれば、俺は甘んじて受けると」

「────」


結局、嫌な予感を抱いたまま俺は青文と別れて──




それからわずか数日の後に、俺の予感は現実のものとなった。