恋口の切りかた

俺は言葉を失った。



「晴蔵様だって、おれのこと男だと思ったから――

だから養子になれって言ってくれたのに……」



留玖は俺の肩に頭を押しつけてしゃくり上げながら、

胸の内をしぼり出すように語った。



「おれ、ほんとにここにいていいのかわかんなくて……

不安で、心細くて……

でも、レン――兄上は、目も合わせてくれないし……

きっと嫌われたんだって思って……

もうどうしたらいいのかわかんないよぉ――」



留玖は、ひぃ~ん、と声を上げて泣いた。



俺は衝撃を受けて――


自分のアホさ加減を呪(のろ)った。




いきなり武士の子になれと言われて

知らない家に放りこまれ、

一番困惑したのは留玖に決まっている。




くそ、何やってたんだ俺は!


俺がくっだらねーことで
接し方がどうのと頭を抱えてる間に、


留玖をこんな心細い目にあわせて――



何がこいつを守ってやれるのは俺しかいない、だ。



女だったとわかったくらいで、うろたえて――


――情けねえ。