恋口の切りかた

私は初めて、父上の口から自分の息子の円士郎を大切に思う言葉を聞いた気がして、少しだけホッとしたけれど、


円士郎の体のことを黙っておくよう虹庵に口止めしたり、
円士郎に冷たい言葉をかけたり……

やっぱり父上は意地悪だと思った。


怒りを抱えたまま、

円士郎の部屋を出て、虹庵を見送るために廊下を一緒に歩いていて


「父上は、ご自分の息子の円士郎が可愛くないんでしょうか」

私はその怒りを虹庵にぶつけた。


「円士郎をいじめるようなことをして──」


そうしたら、虹庵は口を尖らせた私の様子を見て吹き出して、


「留玖、これは円士郎には言うなよ?」

と言って、教えてくれた。


「江戸から戻られた晩、円士郎の腕のことを本人から聞いたと言って、晴蔵様は夜中にも関わらずすぐに私をお呼びになってね」

「えっ?」

私は目を丸くした。


私に円士郎のことを放っておけと命じたあの後に、父上が虹庵を呼んでいた?


そんなこと、私は全然知らなかった。