恋口の切りかた

「青文には忠告されてたのにな。俺がもっと気をつけていれば──大河家との仲がこじれることはなかった」

私は衝撃を受けて、円士郎を見つめた。

「友人なんだろ。親父殿と、大河のオッサンは。
なのに俺のせいで──悪ィ。
大河家とうちの関係は、これからどうなるんだ?」

自分の体のことだけで大変なのに、大河家と結城家の関係を心配する円士郎に私は驚いて、

「ふむ」

父上がこちらを振り返ってニヤリとした。

「その言葉、儂が戻った最初の晩にお前の口から聞いておれば、儂も十兵衛に口止めする必要もなかったがのう」

父上の言う十兵衛というのは、私ではなくて虹庵のことだろう。

「大河家との関係の回復は──難しいな」

父上は顔から笑いを消して、ごりごりと無精髭の生えた顎を擦った。

「……なんとかならねーのか?」

「此度(こたび)のこと、内密に処理するつもりではあるが──事が事だ。
儂も冗談で済ますわけにはゆかぬ」

「────」

円士郎が唇を噛みしめた。