恋口の切りかた

「あれ?」


円士郎は匙を受け止めた己の手を不思議そうに見て、開いたり閉じたりを繰り返して、

「どうだ? 麻痺したような感覚はとれたかね? 力はちゃんと入るか?」

虹庵が目を細めながら言った。

「え? どうなってんだ? 普通に動くぞ」

円士郎は目を丸くした。

「毒の後遺症、治ったのか?」

「いや」

虹庵は笑って、衝撃的なことを教えてくれた。


「君の腕が動かなかったのは毒のせいではない。

毒で苦しんで痙攣と硬直を繰り返した間、
それからその後二日間に渡って眠り続けた間、

首に無理な力がかかり続けたためだ。

まあ、それも毒の後遺症と呼べなくはないがね」


「はあ!?」

円士郎が目を剥いた。


私と円士郎はあんぐりと口を開けて虹庵を見つめた。


「首に負担がかかるとこのようなことはよくあるのでね、正体術を施してほぐしてもらった。
明日からもしばらく、完全に麻痺がとれるまで繰り返してもらいなさい」