恋口の切りかた

並んで歩きながらうつむいた私の頭を、円士郎はぽんぽんと軽く叩いて、



「お前に負けたからだよ」

と言った。



「へ?」

私は目を丸くして、

「だから、俺が剣術にのめり込んだ理由」

円士郎は優しい目で私を見下ろした。



「でも俺は、あの時も勝ってみせただろ?」


そう言う円士郎の声は自信に満ちていた。


「だから、隼人や遊水と──お前のおかげだ。

ありがとな、留玖。
やっぱりお前は、俺にとって特別な女だ」


道場の外に出て、円士郎は私を振り返ってそう告げて、

私はどきどきと再び騒ぎ出した胸を押さえた。


外ではいつの間にか雨が止んでいて、
西の空では綺麗な秋の夕日があかね色に空を染めていた。