恋口の切りかた

「エン……」

私は明らかに昨日と様子の違う円士郎を穴が開くほど眺めて、

「っしゃ! 久々にお前に勝ったぜ」

円士郎が木刀を引き、手の帯を口と左手を使って器用にほどきながら笑った。

「お前、手加減したろ。でも俺の勝ちは勝ちだな」

「だって……」

私は円士郎を見つめたまま、おずおずと口を開いた。


「大切な人が、体もまだ治ってないのにこんな無茶して──本気なんて出せない……」


円士郎が手を止めて、私に歩み寄って顔を近づけた。


「大切な人?」

「え?」

「ただの大切な人か?」


いたずらっぽいニヤニヤ笑いが浮かべて、円士郎が私を覗き込んできて、

どきんと私の真ん中で心臓が振るえた。


「オイオイ、もっと別に言い方があるだろ?」


円士郎が意地悪っぽく言って、


「なあ、留玖?」


私の耳元に息がかかるくらい口を寄せて、そう囁いた。


「えっ……? え……」


私はほっぺたが大火事になっているのを感じながら、円士郎に思いを告白したことを思い出して、

どうしよう、どうしよう……

頭の中が恐慌状態になって──