恋口の切りかた

真っ直ぐ道場に駆け込んで中を見渡すと、

人気のない暗い道場の中に、寝間着を着たままの円士郎が立っていた。


「エン! 何してるの!?」


私が叫ぶと、円士郎がこちらを振り向いて、


「留玖、ちょうど良かったぜ。もう一度稽古につき合え」


私はまた泣きそうになった。


「やだ。まだ寝てないと駄目だって、虹庵先生にも言われたのに──お願いエン、体を大事にしてよぉ……」

私が涙を我慢しながら必死に言うと、円士郎は微笑んだ。

「わかった、留玖。これにつき合ってくれたら、大人しく寝てる」

私は唇を噛んだ。

「な?」

「……ほんと?」

私は渋々頷いて、木刀を握って


円士郎の手元を見て、びっくりした。


「エン、その手──」