恋口の切りかた

「風佳のことなんだがよ」

ようやく他人のことを気にかける余裕ができて、俺は操り屋を営む家老を見た。

「正式に依頼したい。あんたの力で、なんとか丸く収めらんねーか」


「兄上……」

冬馬が驚いたように俺の顔を見上げた。


「俺も、風佳が本当はこんな真似をするような娘じゃないことくらいわかってるさ。

できることなら、なんとかしてやりたい。金子なら積むぜ」


「……難しいな」

廊下に座った金髪の青年は渋い顔で返した。


「罪に問われないように、毒を盛ったことを隠蔽することはできる。

だが、結城家と大河家の関係となると──俺が口出しすべき問題じゃあない」


「そりゃそうか……」


ふ、と遊水は翡翠のような目を細めて優美に微笑した。

「丸く収めたいんなら、まずはあんたがちゃんと体を治すように努めるんだな、円士郎様」


言われて──

俺が後遺症がどうのと暗い顔をしていては、
大河家との関係はますますどうしようもなくなるところだったのだと悟る。


確かに、俺にもフヌケているヒマはねえな。


「それで、気になっていたんだが──円士郎様、冬馬様」

遊水は俺と冬馬を見て、鋭い目つきになり、


これもまた、俺には今まで考える余裕がなかった内容について、



「毒を盛ることを彼女に吹き込んだ──おひさとかいう女中は、どうなりました?」



と、尋ねた。