恋口の切りかた

「どうした!?」


つい今まで、

こいつは強くて泣かない、などと考えていた矢先だっただけに

俺は驚いて、思わず道場の中を見た。


中では平司が、床の上でうずくまっている。


俺は外に出ようとする留玖の両肩をつかんで止めた。


「おい! なに泣いてんだ? まさか、平司に負けたのか――!?」

そんなことでこいつが泣くとも思えなかったが……でも――


「ううん」

俺の予想を裏切って、留玖は首を横に振った。


「おれが勝ったよ、前の時と同じで」

「なら――……」


俺は混乱した。


留玖の泣き顔を見ていると、

胸のあたりがしめつけられるような気分になる。


「どうしたんだ? 何があったか、ちゃんと言え」