恋口の切りかた

そうか。

この年上の武士たちには──二人とも、

命を投げ出す覚悟、
死ぬ覚悟があったんだったな。


だから──揺るがないのか。


恐怖を殺し、覚悟を固めながらも、決してそう易々と死ぬ気はない。

そんな心構えでいられるのか──。




それでも武士か




親父殿の言葉が蘇る。




かつてあの三人橋の上で都築を斬った時、

あるいは普段の稽古の時、

俺も確かにその覚悟と心構えはできている気でいた。


しかし、風佳にこんな形で殺されかけた今はどうだ?

いついかなる時でも、覚悟を保つことができていたか?


かつて虹庵は、火箸で留玖に打ちかかり、
彼女はそれをキセルで防いだ。

虹庵は鬼之介に、これが武芸を極めんとする者の在りようだと語った。



俺が、これまで剣術を通して学んできたこととは──



「そうか──」

俺はこみ上げてきた笑いに、くっくっく……と肩を揺らした。

「左腕でも剣は振るえる……か。確かにな」


突然笑い出した俺を見て、隼人と遊水が顔を見合わせた。


「忘れてたぜ。どうして俺が剣術にのめり込んだのか」