恋口の切りかた

言われた途端に、腕のことを思って気分が沈み込みそうになる。

「あんたと亜鳥には感謝している」

俺は何とか気を紛らわせようと努力しながら礼を言った。

「あの場にあんたたちがいて、

すぐに毒だと気づいて胃の中身を吐かせ、症状を見極めて迅速な対応をしてくれたから俺の命は助かったと、

そう虹庵先生が言ってた……」

「そうかい。まあ、俺があの娘の態度に不審を覚えたのは……経験者だからな」

「毒芹の、か」

俺が親父殿から聞いた内容を思い出して呟くと、

遊水は自嘲気味の笑いに口元を歪めて浮かべて肩をすくめ、それからその笑みを苦笑へと変えた。

「まったく、毒には気をつけろと忠告しただろうが」

「……そうだったな」


駄目だ。

何を話していても意識は両手に向かう。


俺が奥歯を噛みしめた時──


「うげっ!? ご友人が来てるって──この人かよ」

聞こえた声は隼人のものだった。

見ると、中間に案内されて庭を狐目の侍が歩いてくる。

「ドーモ」と頭を下げながら、隼人は部屋の中にいる俺に視線を注いだ。

「毒を盛られたって聞いたけど、何とか生きてるみてーだな」

「なんで……あんたがそのことを知ってるんだよ」

俺が驚くと、

「どっかの御家老様から、円士郎様が暗殺されかかったって内密の書状が届いたもんで」

隼人は中間の去った庭に傘を差して立ったまま、
引きつった笑いで俺と金髪の若者とを見比べた。

「それで、気になって様子を見に来たんだけど……まさか鉢合わせするとは」