恋口の切りかた

次の日は雨で、

俺は開け放った障子の向こうに煙る庭を、床(とこ)に座って眺めていた。



剣術を通してこれまで学んできたものは刀を振るう技術だけか



耳の奥には、昨晩親父殿に言われた言葉がこびりついている。


俺が剣術で学んできたこと──って何だ?


見ているだけで気が滅入りそうになる秋の雨を睨んで、


「こいつは無事で何より」

庭からかかった声でそちらに視線を向けると、

憂鬱な雨の中を、赤い唐傘を差した着流し姿の金髪の男が歩いてくるところだった。

「青文……」

「今は遊水だ」

そう言って、
青文──いや本人曰く遊水か──は傘をたたみ、庭に面した俺の部屋の前の廊下に勝手に座って、

彼の名を呼び間違えた俺を見た。

「なんだ。命が助かったと聞いて来てみれば、随分とフヌケたツラしてやがるな」

「……うるせーよ」

ふふん、と遊水は鼻を鳴らした。

「許嫁の娘に殺されかけたことがそんなに衝撃的だったかい?」

俺は黙った。

遊水はそんな俺をじっと見つめて、

「──というだけでもなさそうだな」

お得意の能力で何かを読みとったのか、そんな風に言った。