恋口の切りかた

冬馬が、はっとしたように顔を上げて、

泣きはらした目をした風佳を見た。


「兄上、風佳殿に……そのお話を……?」


「たった今した! どうなってる!? てめえは風佳に話してなかったのか?」


冬馬が、目を見開いて俺と風佳を見比べて、唇を噛んだ。


「どうして何も教えてくださらなかったのですか……?」

風佳が消えてしまいそうな声を冬馬にかけた。

「本当なのでございますか? 冬馬様が……」

「実の兄」という言葉を口にすることをためらったのか、風佳は濡れた瞳をさまよわせて、

「……大河家から結城家への養子だというお話は」

そう続けた。


冬馬が、正座した膝の上で両拳を握りしめた。


「……はい。相異ございません」


「そんな──」

風佳の顔が歪んだ。


「私は──この冬馬は、大河家よりこの結城家に来た養子です」

「ひどい……! 冬馬様、あんまりです……! どうして、どうして……!?」

風佳が泣き叫び、


俺は、硬く口を結んで黙っている生真面目で誠実な義弟を、信じられない気分で眺めた。