恋口の切りかた

俺は再び床(とこ)に入って、上半身だけを起こして

留玖は俺の肩に羽織をかけてくれて、部屋の外に出ていこうとしたのだが……


俺は、万一のことを考えてそれを止め、彼女にもこの場にいてくれと頼んだ。

留玖が所在なさそうに隅に小さくなって座って


部屋に入ってきた風佳は、畳に額を擦りつけて土下座した。

「申し訳ございません! 円士郎様!」

俺が毒で意識を失った日、
風佳は結城家で事情を聞かれた後、一度大河家に戻されていたらしいが、

俺の意識が戻ったと聞いてこうして駆けつけたらしい。


俺はとにかく顔を上げてわけを説明してくれと告げた。

どうして殺されかけたのか、理由が知りたかった。


真っ赤に泣きはらした目で顔を上げて、風佳は事の顛末を説明して──



「え──?」



冬馬と結ばれたくて、やった?



俺は信じがたい理由を聞いて、まじまじと風佳を見つめた。


「なに、言ってるんだ……?」

「申し訳ありません!」

ただ泣きながら畳みに突っ伏す風佳に、

「冗談だろ……?」

俺は強ばった笑いを向けた。

「本当でございます! 風佳は……風佳は……円士郎様という許嫁がありながら、冬馬様に想いを寄せておりました」

風佳からはそんな言葉が放たれて、

「ああ、でもどうか……冬馬様にはお咎めなきように……!
悪いのは風佳でございます!どんな罰でもお受け致します!
ですからどうか……冬馬様だけは……!」

「待ってくれ!」

俺は混乱しながら言った。