恋口の切りかた

「やだ……やだよ……離れたくない……エンを一人になんてできない……」

ふるふると留玖が首を横に振って、俺にしがみつく腕に力を込めた。

「留玖……頼む」

俺はのろのろと繰り返しながら、これから先のことを考えて目の前が暗くなった。


剣の道を絶たれたら……俺には何が残る?

晴蔵の名を継ぐどころか、今の盗賊改めの役目も果たせなくなるだろう。


そうなったら……俺は……


「何をしている!?」

入り口から大きな声がして、

顔を動かしてそちらを見ると、夕日を背にして虹庵が立っていた。


「先生……」

「円士郎!? 君は絶対安静の身で……何をやっている!?」


怒鳴りながら、虹庵が足早に近寄ってきて、


「俺、もう剣が握れねえのかよ、先生」


床に座り込んで虹庵の顔を見上げて、俺は聞いた。

びくっと、俺にしがみついている留玖の体が震えた。


「なあ、先生……手が動かねーんだよ。毒の後遺症って……これ、治るよな?」