【漣】

マズい、マズいぞ……。

俺はあせっていた。



刀丸――じゃなくて、留玖が女の子だった。


この事実をふまえて、

俺って彼女にこれまで何してきたっけ!?


と、過去を振り返ること一晩。


一睡もできずに睡眠不足のまま、

朝、留玖に出くわして――




変な意識しまくりの俺は、



……留玖の目が正視できねぇ!?



マズい。

それどころか、会話するだけで変な汗が……。



あの大きなかわいい瞳で見つめられると、

どぎまぎして自分が何を言っているのかわからなくなる。


しまいには、留玖は機嫌をそこねたように下を向いて押し黙っちまうし。


そもそも、これまで同年代の女の子と話した経験すらほとんどないのに、

あいつが俺の弟じゃなくて妹なんて――。


俺は、留玖とどう接してよいものか、
完璧にわからなくなっていた。