恋口の切りかた

障子越しに、外の明るい真昼の光が部屋の中を照らしている。

仰向けに寝たまま、部屋の中を見回した。

「留玖……?」

呼んでみるが、少女の姿はなかった。



ずっとそばに、留玖がいたような……



「なんだよ、夢かよ」


小さく毒づいて、ふと視線を頭の上に動かして、


俺はがばっと身を起こした。

ぐらぐらと目の前が揺れ、力の入らない体で倒れ込みそうになりながら、

枕元に丁寧に畳んで置かれていたものをつかみ上げて、見つめた。



着物、エンのために縫ったの。



夢うつつの中で聞いた、留玖の言葉が耳の奥でこだました。

枕元にあったのは、確かに留玖がそう言って渡してきた着物だった。



夢じゃねえ──



「留玖!」

俺は大声で彼女の名を呼びながら立ち上がろうとして──

「兄上!? まだ起き上がったりしては駄目です!」

障子を開けて顔を出した冬馬が仰天した声を上げた。

「冬馬……? 留玖はどこだ?」

部屋の中に飛び込んできて俺を押さえつけた冬馬に、俺は尋ねて


「姉上は……倒れておしまいになりました」


冬馬の言葉を聞いて、凍りついた。