恋口の切りかた

どうして──?


愕然とする。


「離れたくないよ……」


諦めなくてはならないのに
私は、何を言っているのだろう。


そう思ったけれど、


「もう二度と、大事なものがどこかに行っちゃうあんな思いはしたくないよ──」


唇から溢れた言葉は止まってくれなくて、




「本当か……?」


気がついたら、円士郎の腕の中に抱き締められていた。


「留玖、本当にお前、俺のこと──」


温かい腕に包まれて、私はただひたすらに頷いていた。


「本当だよ……!」


は。円士郎が短く息を吐いて笑った。


「やっぱり夢かよ……」


いつもと違って力無い響きは、それでもいつもと変わらない安心感を与えてくれて──


やだ……!


私は全力でその温もりにしがみついた。


忘れるなんてできない。

この思いを消すなんて、できない。


失うなんて──嫌だ。