恋口の切りかた

「違うよ、夢じゃないよぉ……!」


横たわったままの円士郎の上に、
一針一針、円士郎のことを思って縫った着物を掛けた。


「私、これ、頑張って縫ったんだから……!
指、針でいっぱい刺しちゃったけど、時間もかかったけど、エンのために私、一生懸命縫ったんだから……!
エンに、着てもらおうと思って……なのに──」


どうして、こんなことになってるの……エン?


朝は元気だったのに──


「やだ……死んじゃやだよ、エン……」


真っ黒な冷たい冬の夜に落ちていくような恐怖に、全身を支配された。


「留玖……?」

「やだぁ……」


掛けた着物の上から円士郎の体を抱き締めて、私は泣きながら叫んだ。


「エンが……エンが死んじゃったら、私も死ぬから!
エンと一緒に私も死ぬよ……!」

「な……なに言ってるんだ、留玖……」


円士郎が焦った声を出して、私の頬に手を伸ばした。


エン──


「エンのことが……好きなの……」


いつも私を救ってくれた温かい手を両手で包んで、握りしめて、

びっくりした顔の彼に、私は必死に伝えた。


「え……?」

「私も、エンが好き……大好きだよ」


言葉にした瞬間、雪崩のように罪悪感が押し寄せてきて、


「ごめんなさい、ごめんなさい……!」


目を見開いている円士郎を直視できなくて、
私は愛しい人にすがりついて、掛けた着物に顔を埋めて謝った。