恋口の切りかた

「やだ……! エン……!」

私は泣き叫びながら、夢中で円士郎が寝かされている奥の部屋まで走っていった。

「おつるぎ様!」

「留玖!」

後ろから青文たちや虹庵の声が追いかけてきて、


奥の部屋の中で、

布団に寝かされたまま、弱々しく息をしている円士郎を見て、彼にすがりついた。


「エン! エン! お願い、目を開けてよ!」


涙が後から後から、ほっぺたを伝い落ちた。


「留玖、落ち着きなさい」

静かな声がして、私の肩に虹庵の手が置かれた。


振り返ると、部屋の入り口では亜鳥と青文が息を呑んで私の様子を見つめていて、

「ねえ、大丈夫だよね? エンは死んだりしないよね? 風佳は、ぎりぎり死なない量の毒を飲ませたって言ってたもんね?」

私は必死になって、本草学に通じた家老の奥方に尋ねた。

亜鳥が目を伏せた。

「……死ぬ量と死なない量など、個人によって違うのだよ。そんなもの正確にわかるわけがない。
増して、ぎりぎりの危険な量を飲ませたのならば──当然、覚悟しておく必要があるということだ」

「そんな……」

私はがたがた震えた。

苦しそうに目を閉じたままの、愛おしい人の顔を見つめた。