恋口の切りかた

「ひどいよ風佳っ!」

私は思わず立ち上がって声を上げた。

「どうして──そんな──そんなひどいこと……」

「違います!!」

風佳が伏せていた顔をがばっと上げて、悲鳴に近い大声で叫んだ。

「どうか、どうか信じてください!
円士郎様が死んでしまえば良いなどと、わたくしは神掛けて思ってなどおりません……!」

「だって……だったら……どうして、エンに毒なんか……」

私は苦しむ円士郎の姿を思い出して、その場に座り込んだ。

「どうして……? 風佳……」

涙がほっぺたを伝った。


「ああ、おつるぎ様、お許しください……

わたくしは……わたくしは……これが……おつるぎ様のためにもなると思って……」


風佳はそんなことを言った。


私の……ため……?


「こうすることで、おつるぎ様と円士郎様もまた、添い遂げることができると思ったのです」


「え……!?」

冬馬が驚いた表情になった。

「どういうことですか、姉上……?」

冬馬は私のほうを見た。

「まさか姉上の思い人とは──兄上のことだったのですか……!?」

私は冬馬の目を見ることができずに視線を膝の上に落として、

「そんな……ことが……」

座敷の中に、冬馬のぼう然とした声が響いた。

しばらく沈黙が落ちて、


「円士郎殿に毒芹を飲ませたら、おつるぎ様と添い遂げさせることができる……とは、毒の後遺症のことか?」


静寂を破って、怒りに震える声でそう言ったのは亜鳥だった。