恋口の切りかた

あああああ、と声を上げて、風佳がその場に突っ伏した。

「お許し下さい……! どうか……!」

風佳は肩を震わせて泣いて、


「円士郎様さえ──円士郎様さえ倒れておしまいになれば、冬馬様と添い遂げることができると思ったのです……!」


衝撃的な内容を口にした。


「円士郎様が毒でお倒れになれば、結城家の次期当主は冬馬様となりましょう?

わたくしと冬馬様は、どうしたところで結ばれぬ身。

しかし冬馬様が結城家のご当主となれば──結城家と大河家との縁組みは、冬馬様とわたくしの間で行われることになります」


「な──」


風佳の言葉に冬馬が絶句して、

焦った様子で青文と亜鳥を見た。


青文が、ああ、と頷いて、

「お二人のことは……以前から存じ上げておりましたよ」

と、静かに言った。


冬馬の顔が強ばった。


冬馬は、青文と亜鳥がこの国の城代家老とその奥方だということは知らない。

今も現場に居合わせて心配してくれている二人を、事情を知る者という認識で屋敷に残し、この場に立ち会わせているだけだ。

ただ、二人が円士郎と仲の良い友人だとは思っているから、この二人に知れたことは円士郎の耳にも入ると思ったのだろう。


「余計なことは何も喋っておりませんから心配はご無用」

冬馬の不安げな表情を読みとった青文がそう言って、

「つまり風佳様は、冬馬様を結城家の次期ご当主にしてご自分の思いを遂げるために、円士郎様など死んでしまえば良いと思ったわけですか」

容赦ない言葉を放った。


冬馬が見開いた目で風佳を凝視した。