【円】

夢うつつの朦朧とした意識の中で、

波のように襲ってくる激しい痙攣と息苦しさを何度か感じて──



すすり泣くような声で、俺は目を開けた。


「留……玖……?」


俺のそばに座って、大切な幼なじみの少女が泣いている。

少女は何かを胸に抱き締めていて、悲しそうな大きな目からはぽろぽろと涙がこぼれ落ちて、後から後から白い頬を濡らしていく。


また、つらいことがあったのか……?


こいつにいつも笑っていてほしくて、

二度とこんな顔なんてさせたくなくて、

いつもそばで守ってやりたいと思ったのに──



泣くなよ……留玖……



そんな悲しそうな顔で泣かないでくれ……



夢か現実かはっきりしないまま、
身を起こして、泣いている少女に手を伸ばそうとして──

ぐるりと視界が回った。


「エン……!?」

泣いていた少女が弾かれたように俺を抱き留めて、

柔らかい腕の中に包まれながら、やっぱり夢かと思う。