恋口の切りかた

塞いでいた唇を解放すると、

「え……エン……?」

留玖は昨日の晩と同じように戸惑った声を出して、俺から離れようとした。

その腕をつかんで引き寄せて、


何度も
何度も、


細い肩を抱き締めて、優しく唇を重ねた。


最初は俺の胸を押していた留玖の力が徐々に弱まって──


受け入れてくれている。


俺はそう確信しながら、抱き締めた彼女の耳元で、

「俺は着物縫ったりはできねえけどよ……でも、お前のそばにいるから」

そう囁いたら、ためらいがちに留玖が俺の背に手を回した。

「うん……ありがとう、エン」

それから、俺の腕の中で留玖はくすくすと小さく笑った。

「なんだよ?」

「ううん。ちょっと想像しちゃった。エンが針仕事してるとこ」

俺も吹き出して、しばらく二人で笑って、

「違うの」

留玖の言葉に俺は首を捻った。

「あのね、さっきは……ちょっといいこと思いついたの」

「いいこと?」

「うん。だから、大丈夫だよ」

留玖はそう言って、

「でも──心配してくれて、嬉しかった……」

ぎゅっと、背中に回された留玖の手が俺の着物をつかんだ。