【円】
遊びで絵を描いたり、陶芸用の窯を借りて茶碗を作ったりはしているものの──さすがに俺もかんざしの細工はやったことがなかった。
そこで飾り職人に聞きながら図案だけ作って、完成の報せを待っていたのだが、
かんざしが出来上がったという報せがようやく届いて、
留玖にかんざしを渡して、
──まあ、思いきり警戒された時にはどうしようかと思ったが──
留玖が泣いて喜んでくれて、
「あの、本当にありがとうね、エン」
「これ、絶対に大切にするからね」
大きな潤んだ瞳で俺を見上げて、一生懸命そう言ってきて、
「あの……あのね……そうだ、何か私もお礼するよ」
「エンは何か欲しいものってない?」
そんなことを言うから──
理性のたがが外れた。
戸惑う留玖の唇を奪って、
さらにそのまま彼女を自分のものにしようとして──
それでも、
彼女は強い。
本気で留玖が嫌がるなら
本気で俺を拒絶するなら
俺に彼女をどうこうできるわけがない。
そう思っていた俺は、躊躇しなかった。



