恋口の切りかた

ゴン、と何かがぶつかるような大きな音が部屋の上のほうからした。


「ん?」


円士郎が私から身を離して、上を見上げて──


見る見るその顔つきが険しくなった。


「てンめェ──!!」


怒りの形相で立ち上がり、蚊帳の向こう側に歩いて行って──

──円士郎が天袋を勢いよく開ける。


「ひい!?」

中から悲鳴が聞こえて、長い黒髪の女が顔を出した。

「れ……霊子さん?」

私は乱れた着物を大急ぎで引き上げて前を隠しながら、すっかり忘れていたこの部屋のもう一人の住人の名前を口にした。


どうやらさっきのは、中で彼女が盛大に頭を天井にぶつけた音だったらしい。

霊子は額を押さえて、

「あ……あのあの、拙者には構わず、どうぞ続けて──」

「できるかァ──っ!!」

円士郎が絶叫した。