恋口の切りかた

「うん。エンは何が欲しいのかな? 何でも言ってよ。
男の人が喜ぶ物って……私、よくわかんないんだけど……」

じいっと円士郎の瞳を見上げて訊いたら、

円士郎は私を黙って見下ろして、少し考えこむようにして、


ふーん、と呟いた。


「何でも?」

「うん。あ、私があげられるものだったら……」

私が首を傾げると、

「そうだな。俺もお礼くらいもらっても罰は当たらねーよな」

円士郎はそんなことを言って──


ニヤッと、いたずらっぽく笑った。


「俺が欲しい物、知りたいか?」

「う……うん」


円士郎の顔に浮かんでいる笑みは、彼がいじめっ子だった頃の意地悪な笑い方に見えて、

私はちょっと不安になりながらも頷いた。


「え……エンは、何が欲しいの?」

「んー? そうだな、だったら俺が欲しいのは──」

円士郎が部屋の中に入って、左手で障子を閉めた。

なんだろ?

答えを待つ私のほっぺたに、円士郎の右手が伸びて、



「とりあえず、お前のココ」



親指が、私の唇を撫でた。