恋口の切りかた

「に、似合うかなあ? 変じゃないかな?」

私は心配になって、男のように総髪をまとめた頭を色々な角度から鏡に映して、

そのたびに、行灯の光を受けて、鏡の中では銀色のかんざしがきらきらと光を撒いた。

「変じゃねーよ。よく似合ってると思うぜ」

円士郎は可笑しそうに言って、偉そうに胸を張った。

「この俺がお前に似合うように図案を考えたんだ。似合わないワケがねーだろ」

私もなんだか可笑しくなって笑った。

「そう言えばさ、エン、前に買ってたかんざしはどうしたの?」

「あーあれな。図案を作る時の手本に使って、その後は用が済んだから……たまたま部屋に来た宗助にやった。

たまにはお前も女に髪飾りくらいやれよ、とか言って渡したんだが──あいつ、あれどうしたかな?」

考える素振りを見せる円士郎を見上げて、私はくすくすと声を立てた。

私はそのかんざしの行方を知っている。

つまり、ちゃんとかんざしは円士郎の思惑通りの道を辿ったということらしい。


鏡を覗き込んでいる私を満足そうに眺めて、円士郎は「じゃあな」と言って部屋を後にしようとして──

私は急いで、障子を閉めようとする彼の袖をつかまえた。

「待って。あの、本当にありがとうね、エン」

私は少しでもこのいっぱいになっている気持ちを伝えようと一生懸命言った。

「これ、絶対に大切にするからね」

「留玖……」

円士郎が微笑んでくれて、

「あの……あのね……そうだ、何か私もお礼するよ」

私は思いついて口にした。

「エンは何か欲しいものってない?」

「え? 俺?」

円士郎が少し目を丸くした。