恋口の切りかた

「るるるるる留玖──!?」

泣き出した私を見て、円士郎が慌てふためいた声を上げた。


私は急いで袖で目元を押さえた。

でも、溢れ出した涙はなかなか止まってくれなくて


私は小さな木箱をぎゅっと抱き締めて、泣き続けた。


「……嬉しい」


円士郎からかんざしをもらったことも嬉しかったけれど──



円士郎が、私の好きな花を覚えていてくれた。



初めて出会った頃の、他愛ない子供の会話だったのに……

円士郎は花になんか全然興味がないのに……



……ちゃんと覚えていてくれた。



それが嬉しくて、嬉しくて、



しかも、

円士郎が鳥英と絵の話をよくしていたり、時々遊びで綺麗な絵を描くことは知っていたけれど、

私のために自らかんざしの細工の図案まで作ってくれたなんて──



「ありがとう、エン」



嬉しくて、幸せで、涙が止まらなかった。