恋口の切りかた

「これ……私に……?」

私は震える声で尋ねて、

「おう。さっきもそう言っただろ」

円士郎がいつものようにぶっきらぼうに答えた。

「ご──ごめんなさい!」

私は恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいになりながら、慌てて謝った。

「私てっきり、何かいたずらかと思っちゃって……」

「いいって! そう思われて当然だ。悪いのは俺だからよ」

円士郎は苦笑いした。

それから、

箱の中をぼーっと眺めている私の向かいから、円士郎も銀のかんざしを覗き込んだ。

「一応それ、図案は俺が描いたんだぜ?」

円士郎は照れくさそうに笑いながらそう言った。

「今度は蓮の花のやつも作るか?」

「蓮……?」

「お前が二番目に好きな花だろ。三番目に好きな花もあるか?」

「……芍薬の花」

「へえ。全部薄紅色だな。お前、薄紅色の花が好きなんだなァ」

円士郎は楽しそうにそう言って笑って──

「どうだ? これ、気に入ったか?」

少し心配そうに私の顔を見つめた。


視界が滲んで、

手元の小箱の上に私の目からしずくが落ちた。