恋口の切りかた

その翌日、

しばらく屋敷にこもっていたせいで、隼人の婚約者に武術を教えるという約束がそのままになってしまっていたので、

祝言の前に一度くらい教えに行きたいと頼み込んだら、しぶしぶ円士郎は承諾してくれて

私の外出禁止令はようやく解かれた。


「ただし、冬馬と一緒に行け」

という条件付きだったけれど。


「俺がついて行きたいけど、今日は無理だからよ」


円士郎はお役目で、盗賊改めの役宅として使うことになったという神崎帯刀の屋敷に行かなければならないのだそうだ。


昨日風佳からあんな話を聞いたばかりで気まずい気もしたけれど、私と冬馬はお供の中間と一緒に、相模家の屋敷を尋ねた。


隼人の婚約者の加那という人は、物静かであまり表情を見せない人だった。

年は二十と聞いているから、私より三つ年上だ。

ちょっと冷たそうで……綺麗な人だった。


ちょうど冬馬を稽古相手にして、私がやって見せた動きをすぐに覚えてくれて、とても飲み込みがいい。


態度はそっけない感じだけれど、話していたら優しい人だと伝わってきて、

仲良くなれそうで私は安心した。


お昼から日が傾くまで、お屋敷の庭で結構本格的に稽古をして、


加那に別れを告げて、結城家へと戻る帰り道のことだった。