恋口の切りかた

「幸せだ」


真っ直ぐな視線と言葉とが、答えた。


「あの人が幸せならば、私は幸せだ」




強い──女だな。




筆舌に尽くしがたい苛酷な状況に置かれてなお、かげりのない瞳で口にした女を見て、

俺はあいつが亜鳥に惚れたわけがわかった気がした。


青文が幸せならば、か。


あいつは──どうなんだろうな。



俺はそんな疑問を抱いて、



それから数日後、町で出会った彼女は女絵師として長屋住まいをしていた頃の町娘姿で、

隣には棒手振姿の遊水に扮した青文がいた。


聞けば二人して町人に扮して、お忍びで町歩きをしている最中らしい。

俺も留玖と一緒になって、こういう真似をしてえなァ……

どうしても思考はそういう方向に向かって、

羨ましがる俺に


「これで、答えになるかな?」


亜鳥はそんなことを訊いてきた。