恋口の切りかた

「行逢神?」

俺は自分の知識の中から、その怪異に関する知識を探った。


行逢神というのは確か──

行き合った者に災いをもたらすという類の怪異だ。ものによっては、行き合っただけで即死すると恐れられているという。


「顔を敢えて隠さず、その名の通り、行き合った者──顔を見た者を皆殺しにするのが平八一派の流儀さ。
残虐ないそぎ働きをすることで有名な連中だ」

ちなみに「いそぎ働き」というのは、押し込み先の人間を殺して強盗を働くことである。

「その分、腕も立つ連中が集まってる。
そいつらが城下に入り込んでるってことだ、用心しておいたほうがいいだろうぜ」

俺はあきれて、この城代家老を眺めた。

「あんた自身が盗賊改めの頭を兼務したほうが早いんじゃねーのか?」

俺が言うと青文は大きく身を引いて、

覆面で隠されていても、盛大に顔をしかめているだろうことが容易に想像できた。


「俺を役目漬けで殺す気か」


嫌そうに吐き捨てた城代家老を見て、俺はゲラゲラと声を出して笑った。