恋口の切りかた

まあ、家老になってからも盗賊時代も、似たような真似で恨みを買っているわけだから、やっていること自体は変わっていない気もするが。

「鎖鎌の男の話ぶりでは、俺が緋鮒の仙太と睨んで家老の屋敷を見張っていたわけではない様子だったな。

さて、賊が一国の家老をどういう理由でつけ狙っていたのかね……」


「顔を見られたのは……やっぱりマズかったんじゃねーのか?」


俺は気になっていたことを口にした。

何者なのかも知れないその鎖鎌の男に、この国の城代家老が元盗賊の緋鮒の仙太だと完璧にバレてしまったということになるのだ。

嫌な予感がした。


「あの時の俺は、先のことなんざもう、どうでも良かったからねェ……その日のうちに何も手を打たなかったのは失敗だったな」

のんきにそんなことを呟くこの男の口調からは、事態を懸念する様子が感じられはするものの

どこか憑き物が落ちてサッパリしたような、晴れやかさが漂っていた。


「ま、何とかしねェとな」

気を引き締めるように、青文はそう言って、

「そうそう、おそらく神崎帯刀あたりも知っていると思うが……」

そんな風に付け加えた。

「闇鴉の一味には中に幾つか派閥があってね、俺を襲った連中が誰も覆面をしていなかったところから見ると──

おそらく奴らは『行逢神の平八』一派だ」