恋口の切りかた

「俺は、亜鳥を信じている……!」

自分自身に言い聞かせるように力を込めて俺は言った。

留玖の手を握り返す。

「彼女は、あいつを生かしてくれると──信じている」


亜鳥もまた生まれながらの武家の女だ。

家のために己の心を殺して、政敵の家に嫁ぐほどの──生粋の武家の娘だ。


そんな人間が、家を没落させた仇敵を前に、どういう行動をとるのか──


どれだけ俺の考えが楽観的で、甘い希望に過ぎないかはわかっていた。



「エン……」

留玖の声が静寂を震わせて、



不意に、夏の虫が一斉に鳴き止んだ。



闇の中でこの夜、俺と留玖はずっと互いの手を握っていた。





そして。