恋口の切りかた

ふふふ、と笑い声がして、意識をそばの城代家老に戻した。

「円士郎様は本当に、貴女には私のことを何も告げていなかったのですねえ──」

青文は、再び死体を調べながらそう言った。

「え……エンは……あなたの正体を……?」


どきどきと、自分の中から嫌な心音が聞こえる。


からからに干上がった喉で、私は何とか気を紛らわせようと質問をして、


「ええ、まあ。詳しくは直接お聞きになるのがよろしいでしょう。私と、亜鳥のことも……」


「え……? あ──」


青文がこちらを見ぬまま返してきた言葉で、はっとする。


遊水さんが、伊羽青文だった……


ということは、つまり、つまり、


亜鳥さんとこの人とは──