恋口の切りかた

りい、りい、と夏の夜の虫の声が聞こえている。



「あれ……?」

私は何度も瞬きをして、金髪の若者と、周囲に転がった死体とを交互に見つめた。



あれ……?



目を擦る。



不安が、


体の真ん中に、黒い墨のように広がっていった。



ひとつ、ふたつ、みっつ……


むっつの、死体……