恋口の切りかた

「緋鮒の仙太、俺を陥れた貴様には貴様の好きなやり方で復讐してやる」


刺青の男が言って、きびすを返す。


「待て!」

「逃がすか──」


私と金髪の家老とが同時に声を上げて、



ひゅるるん、と空気を裂く音がして、男が牽制に鎌を放ってきた。


慌てて私たち二人が身を伏せて──


「そいつらが何なのか知りたかったら、死体の体を調べてみな」


男のそんな声とともに頭上を鎖が通り過ぎ、


「緋鮒の仙太なら──ようく知ってるものがあるぜ」


私たちが身を起こした時には、白い塀が続く道からその男の姿は消えていた。