恋口の切りかた

鎖鎌によって切り裂かれた覆面頭巾が、家老の顔からずるりと肩へ落ちた。





灯火に照らされて、見慣れた金の髪が目に飛び込んでくる。


彫りの深い、整った白い顔で、


翠玉のような瞳が、光を映して揺れている。







家老の着物に身を包んで、そこに立っているのは──



「遊水……さん?」



ついさっきまでススキ野で一緒だった見知った男の名前を、私はぼう然と口にした。