恋口の切りかた

長く伸びた鎖が目に入る。


私の眼前で、男の頭に突き刺さっているのは、稲の刈り入れに使うそれとは似て非なる形状の──



──鎌だった。



鎌柄の長さはおよそ一尺八寸。




「鎖鎌」という名の武器だ。




もっとも、目の前にあるその武器の刃渡りは、
父上や宗助から聞かされていた鎖鎌の長さよりも遙かに長くて、鎌柄の長さとほぼ等しい刃を備えていた。



私は伸びた鎖の先を辿って──私たちのすぐ近くに、いつの間にか気配もなく立っていた一人の男を認めた。


やはり、暗くて顔は見えないが、格好からして今の男たちの仲間のようだった。



「はははは!」と、ちろちろと燃える提灯の明かりの環のぎりぎりに立って、その男が哄笑を上げた。


「これは、思わぬ収穫だ」


笑う男と目の前の鎖鎌を見比べながら刀を構え、何のことかと私は首を捻って


「見たぞ──その顔!」


そう言う男の視線の先を見て──頭の中が真っ白になった。