恋口の切りかた

これは──宮川中には悪いけれど、護衛なんて本当にいらないんじゃないのかな。


私の脳裏をそんな考えが過ぎり、


「さあ、答えよ」


青文が、目の前の男に対して語気を強めた──



──刹那、



空気を斬る音が飛び込んできた。



何かが私の横を掠めて──

「くっ……」

青文が小さくうめいて、身を仰け反らせた。


その頭で、覆面頭巾の布が切れ飛ぶ。


青文が塀に縫い止めていた男の、顎から上が消失し、

私の目の前の男の頭に刺さって動きが止まったその物体を見て──


ようやく私は「それ」の正体を知った。